ルパン制作ブログ ルパン座トーク ルパン制作スタッフによる制作裏話

制作進行の基本はスケジュールだ!

2015.08.14

皆さまこんにちは!制作進行見習いのナカノンです。

前回は、「ルパン」に携わるメインスタッフを紹介しました!

アニメーション制作には沢山の方達が携わって一丸となって作品を創りあげてるんですね!

 

さて、今日は「制作進行」の仕事について、ホリコ先輩にみっちり教わりたいと思います!

 

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◆ホリコ先輩、よろしくお願いします!

ホリコ:しっかり憶えるんだよ!

 

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◆はい、がんばります!で、「制作進行」はどんな仕事なんですか?

ホリコ:えっナカノン、そんなことも知らずに入ってきたの?しょうがないなぁ。

「制作」は、担当話数の始まりから終わりまで、その話数の全ての工程に携わることができる、とっても素敵な仕事だよ!基本的にはスケジュール管理がメインの仕事だね。

各工程のUP日(締日)を設定して、期間内に作業してもらって、次の工程の方にお願いする、という…出版の編集さんに近いところがあるかな。常に人と対峙しなければいけないし、「本当にこの判断で良いのかな?」って自問自答することが多い仕事だよ。

 

◆な、なるほど…!考えるだけで目が回りそうです…スケジュール通りにいかないときもあると思うのですが、そういう時はどうするんですか?

ホリコ:UP日に間に合わない、というのは、怠けているからではないのね。いいものを作ろうとして、粘って粘って遅れてしまう場合もある。でも遅れてしまうと、次の工程のスケジュールを圧迫するから、後工程の人にすごく負担をかけることになっちゃう。だからやっぱり時間を守ってもらわなくちゃならない。いいものを作りたいけど、どこかで「この期間内で可能な限りでお願いします…」と言わなくてはならないところがとても苦しい…。その判断のタイミングも難しいんだよね。

 

◆うわっこれは何ですか?ピンクのラインがいっぱい引いてありますが…。

 

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ホリコ:これはカット表と言って、1話分のカットの進捗状況を一覧にしたものだよ。ピンクに引いてあるところは既に終了した工程のところだね。

 

◆1つのカットに大まかに7工程の欄がありますね…これを全カット行うことになるんですよね…!気がトオクナリマス…。

「制作進行」をする上で、何が一番大変ですか?

ホリコ:う~ん… 私が心掛けているのは「気持ちを腐らせない」ってこと、かな。体力的にも辛いし仕事量が膨大だから、気持ちが折れてしまう人もいると思うのね。でも自分は良いものを残したいから絶対折れないっ!という気持ちは常に持ち続けてる。モチベーションがなくならなければ、体力的に辛くてもやっていけると思ってます!

 

◆「制作進行」には精神的な強さが必要なんですね!では、やりがいを感じるのはどんなところですか?

ホリコ:作品が終わった時に「またあなたと一緒に仕事がしたい」と言われること。これがホントに嬉しい。あの時の辛さが報われたって思う!

 

◆ホリコ先輩は今回、「制作進行」ではなく「設定制作」として作品に入ってますが、「設定制作」は「制作進行」と何が違うんでしょうか?

ホリコ:「制作進行」は作品の話数ごとに、その話数を担当する進行のことを言うけど、「設定制作」はシリーズ全体を把握しながら設定を発注する制作の事を言うよ。

ざっくり言うと、その話数に関わる人たちが仕事をしやすいように、素材をそろえること。あとは、起きそうな問題を想定して、間違いが起きないように段取ることも大事。

動き始める時期も「制作進行」より早いんだよ。

 

◆具体的にはどういうことをするんですか?

ホリコ:まずシナリオを読んで、何が必要かをチェックしてリストアップする事から始めるよ。

キャラ・背景・小物など、絵を描き起こすのか、写真参考でいいのかなど、そういった物事を判断して、設定発注したり、参考資料を探して、各話の制作進行に伝えるんだよ。

 

◆これがリストアップしたものですね!

ホリコ:その通り!「香盤表」と呼んでるよ。

 

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ホリコ:こっちのリストは「美設リスト」。美術設定をリスト化したものだよ!

 

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◆…なんだかとても緻密で膨大ですね…。打ち合せも多いのでしょうか?

ホリコ:「制作進行」と同じく、設定制作も打ち合せは多いかなぁ。ちなみに、打ち合せの事を、「〇〇打ち」と省略して呼ぶ事が多いよ。

コンテ打ち(絵コンテ打ち合せ)では、シナリオから読み取れる情報───コンテマンさんがコンテを描くために必要な設定や資料を準備して臨むんだけど、設定打ち(設定打ち合せ)の時に聞いた監督の意図もそこで伝えられるように気を付けているよ。

コンテが上がったら、次は演打ち(演出打ち合せ)。コンテ内容に沿った参考資料を、演出さんと作画マンさん用にまた探す必要があるんだ。つまり2回の打ち合せで同じ作業を2回繰り返してる。

全シーンがそのまま最後まで残るわけではないから、「あんなに時間をかけて資料探したのにカットされている!」とショックを受ける時も(笑)。でもそれは話の流れを考えると必要な事なので、すぐ気持ちを切りかえるっ!

その他にも、

・キャラ色打ち(メインキャラや各話数のゲストキャラの肌・髪・服の色を決める打合せ)

・ボード打ち(光源・質感・色味など、各シーンの世界観を決めるカットを選ぶ打合せ)

・2D打ち(予告状や新聞の文面など、ハリコミ素材を発注する打合せ)

等があるよっ!

 

◆話を聞いててクラクラしてきました…どんなときにやりがいを感じますか?

ホリコ:自分の提案したものを取り入れてくれたときかなぁ。

「もの作りの現場にいるな」とやりがいを感じるね。

 

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◆ホリコ先輩の「設定制作」から見て、今回の「ルパン三世」のおすすめポイントを教えていただけますか?

ホリコ:やっぱり各キャラクターかな。実はメイン5体のデザインが決まるまでに1、2カ月かかったんだよね。それだけ1体1体に横堀さんのこだわりがつまっているんだよ!

色々な話をしていく中で、横堀さんがやりたいこと・表現したいことを出来る限り決定稿に反映させたいと思うようになって、横堀さんをせっつくようなことは極力したくないなって(笑)

歴代のルパンを制作してきた方々への敬意や、キャラデとしての重責、何よりキャラの個性をどう表現するかに重点を置いて完成したキャラクターだから、皆さんには一瞬の表情や仕草を見ていただけると嬉しいです。

 

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ホリコ先輩ありがとうございました!

ホリコ先輩の仕事に対する愛情の深さが伝わってきました…!

自分もこれから一流の進行マンになるべく頑張ります!

 

次回はホリコ先輩にイタリア・ロケハンの時のお話しを伺います!

来週もお楽しみに!